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- クラインの桜
クラインの桜
「これから死んじゃう人の事、好きになっても仕方ないのに」
何の変哲もない日常を暮らしていた私の元に、ある日死神は舞い降りた。その死神が言うに、私の寿命は残り1ヶ月らしい。
そして死神はまた、こうも言った。
「残りの貴方の人生を幸福にするためのお手伝いを致します」と。
彼と過ごす非現実的な現実感のある幸福と、死への葛藤の堂々巡り。長いようで短い1ヶ月間を一緒に過ごし、いつしか2人は惹かれ合う。
本来出会う筈の無かった死神と人間の運命の恋。
「死神さん!私生きてるよ」
余命宣告をされてから3ヶ月後を過ぎた朝、いつも通り目を覚まし、朝食を作ってくれる死神さんの元へと急ぎ足で向かう。この時の私は知らなかった、死神さんが私の為に_