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- テセウスの蕺
テセウスの蕺
君とは、別に家が近いとか、生まれた病院が一緒とか、親が仲良しとかとかじゃないけど幼馴染みだった。
学童で2人だけ親が遅くまで来なくて、よく夜まで遊んでたよね、覚えてる?保育園は離れ離れだったけど、小学校が一緒になれたときは本当に嬉しかった。でも君ったらさ、中学、別のところに急に行っちゃうから。わざわざ追いかけて、家から遠いこの高校を選んだんだよ。てさ、志望動機に困っちゃうよね。
「ねぇ、覚えてる?あの約束」
「一緒にこの街を出よう、て」
高校で邂逅した君に、変わらないねと言いたかったのに。僕も君もどうやら変わっちゃったみたいだ。