オルフェウスの蕺

イブとアダムではなく、リリスとアダムが結ばれ人間と人外が結ばれたことにより、この世界は人間と人外が混沌とする世界になってしまった。

その影響を尤も強く受けていたのがソドムという都市であり、その都市は劣悪な環境だった。そして、こんなに劣悪な環境になった理由を人外が多くいるせいだと誰かが唱え。いつしか人間であればある程善、人外であればある程悪、という思考が出来た。そして、最も人とは異なる姿をしていた人外を地下牢に閉じ込めストレス発散の道具にした。

数年後、ソドムは天から降った硫黄で焼き消された。地下牢だけを残して。

そしてまた数百年、すっかり荒廃したソドムを探索にやってきた冒険者は地下牢を見つけそれは美しい人外に出会う。今となっては冒険者の方が人外のような見た目をしていた、時の流れで人間そして人間に近いものが居なくなっていたのだ。

「もし時代が違っていたら、君を閉じ込める者は居なかっただろうな」

冒険者と人外は直ぐに仲良くなった。外の世界を知らない人外へ、冒険者は外の世界を教えて、やがてある約束をした。

「外の世界へ行こう!」

外の世界へと、深い深い地下牢を共に協力して上がって、上がって。その先に見えた黄昏を見た人外の身体は忽ち灰になってしまった。

美しいエウリディケを亡くしたオルフェウスのように、冒険者は咽び泣いた。